SOUND OF 2017

2017年05月23日

ロック・クラブ体験記 船櫂好函Ε僖鵐編

僕がロックンロールが流れるクラブで遊び始めたのは1990年代後半。10代前半からロックは好きだったのですがDJと言えばヒップホップ、スクラッチというイメージしかなく(それはそれで興味はあったのですが)、初めて行った時の目の前の景色が一気に明るくなった感覚は今でもはっきり覚えている。

ビートルズ、マンフレッド・マンといったUKのビート・バンド、チャック・ベリーやウィルソン・ピケットなどのロックンロール/R&B/ソウル、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやドアーズ、そしてオン・タイムのオアシスやブラーなんかもかかっていた。と分かったようなこと言ってますが今挙げたのが当時の自分が知る限り。まだ若かったしかかっているほとんどは知らなない曲。だけど楽しくて楽しくてずっと踊っているかお洒落でかわいい女の人たちを目で追い掛けてた(笑)

あれから20年が経った。せっかくだから自分の目に映ったロックが流れるクラブについて、何回かに分けて順を追って書いていこうと思う。ちゃんと現在まで辿りつけるか、ゴールは全然見えていませんが仕事じゃないんで見切りでいいでしょう(笑)。そしてあくまでも僕の目から見た話、僕が体験した話です。俯瞰で正しく歴史を綴ったものではありませんのでご容赦を。

僕が思うロック・クラブの魅力とは。音楽が大音量で流れていてなんだかイケてる香りがする興味をそそる空間で、自由に遊べるということ。飲むもよし踊るもよし仲間作るも一人で没頭するもよし、DJはイカした楽しい空間を演出するべく場の雰囲気を見ながら選曲・グルーヴを練っている。かかっている曲や場所やお客さんの雰囲気が相俟って新しい感性の扉が開くんです。

そんななか、僕が”クラブに行かなければ出会わなかったかもしれない音楽”といえば1970年代後半から1980年代のニュー・ウェーヴ/ポスト・パンク。ざっくり言うと1970年代のパンク以降生まれた新しい音楽の流れ。様々なスタイルのサウンドがありますが、ここでは僕がクラブでよく聴いたポスト・パンクについて書いていきます。

パンク・ロックの粗削りなサウンドとジャズやファンク、レゲエといった音楽がブレンドされたダンサブルな曲たちに踊り狂い、英国ロック独特の陰鬱やダークなサウンドに宿る熱に胸焦がされた。当時若かりし頃の感覚で言うと、なんかもうぎりぎりでアウトなのかセーフなのかとても奇妙な音なんだけど、とにかくダイレクトに体に入ってくる感じ。衝撃的だった。

通い詰めていたのは心斎橋にあったCLUB FLATtの木曜日のパーティROCK'2'ROCK。

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まだスマホがなかった頃で写真があまり出てこないのですが、フロアは全体はこの倍以上。ド平日の日本は大阪オールナイトでいつも100人は超える人でパンパン。それが毎週。ちなみに同パーティは今も心斎橋UNIONでやっているのでぜひ行ってみてください。

だから僕の体験において”ロック・クラブ”と言えば、パンク・ロックやポスト・パンク、ニュー・ウェーヴから90年代のオルタナティヴ・ロックやブリット・ポップ、2000年代〜現在のインディー・ロックへと連なっていくイメージ。自分自身が音楽に目覚めたルーツはビートルズやローリング・ストーンズに代表される1960年代のブリティッシュ・ロックやサイケデリック・ロックなので、その2本の柱と1980年代に発するビースティ・ボーイズやRun-D.M.C.といったロックとヒップホップが交差する音楽のグルーヴが、DJとしての自分を形成しているように思う。

というわけで、今回はオリジナル・ポスト・パンクのナンバーに中で僕が踊らされ続けかけ続けているものと、そのリヴァイヴァル・ムーヴメント、そして最新注目曲を紹介します。

.リジナル編

■Pigbag / Papa's Got A Brand New Pigbag


最初の衝撃はこれでした。ドカドカ鳴り物のワールド・テイストがたまらなく気持ち良かった。サックスの鳴り方とか訳が分からないんだけどめちゃくちゃ自由を感じた。

■The Pop Group / She's beyond Good and Evil


これはピッグバッグのサイモン・アンダーウッドが在籍していたバンド。奇才マーク・スチュワート率いるレジェンドの1979年デビュー・シングル。

■Joy Division / Love Will Tear Us Apart


フロントマン、イアン・カーティスの遺作となったシングル。僕がクラブで聴いてきた曲通算回数でも断トツの上位。

■The Cure / In Between Days


キュアーとジョイ・ディヴィジョンがかかると、外国人の人たちがめちゃくちゃ盛り上がるんです。どうやったらそんなに上がれるんだっていうくらい。あまりにも衝撃的で次の日その風景を思い出しながらレコード屋に走ったのを覚えています。

■Public Image Ltd / This Is Not A Love Song


セックス・ピストルズのジョニー・ロットンことジョン・ライドンが結成したバンド。

■Gang of Four / I Found That Essence Rare


後世にも絶大な影響を与えたこのギターの音とファンキーなグルーヴのマッチがたまらない。

■The Slits / I Heard It Through The Grapevine


パンクロックとポストパンクを結ぶような立ち位置にいる女性バンド。マーヴィン・ゲイのナンバーをパンクでファンクでレゲエにカヴァー。

きりがないのでオリジナルはこの辺で。当然「なんで〇〇選ばねえんだよ」って話も出るとは思いますが、そこは僕の思い出ってことで、またあなたの話も聞きたいです。切に。あとこの流れで自分の中でもシーンとしても絶大なザ・クラッシュ(ポスト・パンクではありませんがレゲエやファンクのエッセンスという意味で)やトーキング・ヘッズにも触れてないですし。その辺はまた改めて。

▲螢凜.ぅ凜.詈

■Tha Rapture / House Of Jesus Lovers


一撃必殺、一番でかい花火といえばこれでしょう。2002年。

■Yeah Yeah Yeahs / Date With The Night


この曲の盛り上がりも尋常じゃなかった。そういえば最近クラブではほとんど聴いてない。今度かけよう。

2017年ニュー・リリース編

■!!! (Chk Chk Chk) / Dancing Is The Best Revenge



リヴァイヴァルのところにもぶっちぎりで入るのですが、新譜があまりにもよかったので。

■Formation / Pleasure


ロンドンからのニュー・カマー。最近彼らにインタビューも行ったのでせひコチラからご覧ください。

■Cabbage / Urber Capitalist Death Trade


この曲はリヴァプールのSkeleton Keyから昨年リリースされましたが、今年に入ってざわついているマンチェスター出身のバンドで僕もかなり注目しています。日本に来られるぐらいまでよろしく!

■HMLTD / Staind


とにかく人と違うことをしてやろうというニュー・ウェーヴの美学を受け継ぐロンドンのニューバンド。一押しです。

とこのくらいで。新しい音楽については日々いろいろと綴っているので引き続きチェックしてもらってパーティに出かけてください。僕自身は東京に引っ越してきて今あまりDJしていないのですが、そう遠くないうちにガツンとやりますので、またよろしくお願いします。

(TAISHI IWAMI)



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2017年05月20日

Cut Glass Kings / Here Comes The Light

コーラルのジェイム・ケリーが運営するレーベル「Skeleton Key」が面白い。 サイケと聞いてピンと来る人にはこの上ないレベル。これぞ英国ロックの伝統と深み。痺れます。ちなみにYotubeからレーベルのページに飛ぶと素晴らしいナンバーに出会いまくりです。そのなかでも最近気になっているバンドがバーミンガムの2人組カット・グラス・キングス。音もインパクトあるしルックスも雰囲気あるしローカル・シーンを飛び出してブレイクなるか。

■Cut Glass Kings / Here Comes The Light


レトロ・スペイシーなノイズからへヴィーなブルーズへ。ガツンとロックしていてトリップ感もポップな引っかかりもあってグッドです。


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2017年05月19日

Shit Girlfriend / Mummy's Boy

2017年のインディー・ロックは面白い。こちらも話題になりそうな予感。美女2人がネオンライトの前でザラついったロックンロールをラフにキュートに。これははまります。

■Shit Girlfriend / MUmmy's Boy


金髪の方はブラッド・レッド・シューズのローラ・メアリー・カーター。デビューから10年以上経つのにむしろ若返っている。ヒリヒリする緊張感、ときにへヴィーメタル的暗黒感も出していたイメージはどこに。サディスティックの二面性。女の人って凄い。

Blood Red Shoes / I Wish I Was Someone Better


2007年当時、クラブでもかかりまくっていてよく踊り狂った。




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Tove Styrke / Boderline

TwitterやInstagramにはいろいろとおすすめの音楽情報をアップしているのですが、こちらはすっかりお休みしていたのでそろそろ再開しようと思います。

スウェーデンのシンガー・ソング・ライター、トーヴェ・スティルケが新曲「Say My Name」のリリック・ヴィデオに続いてMVを公開。ご本人登場、キュートでカラフルな映像がグッド。

■Tove Styrke / Say My Name


イケイケのお姉ちゃんというわけでもなくマイノリティも”分かってる”的スノッブな視点でもなく、かといって親近感ありありでもなく、とても気になる絶妙な色気でハウスやレゲエなど様々音楽にアプローチ。もっと爆発的に売れてもいいと思っていたけどそろそろかも。

■Tove Styrke / Boderline


ティン・ティンズ〜チャーチズのラインでインディー・クラブ・アンセムになりそうな香りがプンプン、そしてグライムスくらい世界的に評価されてもいいんじゃないでしょうか。


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2017年02月23日

THE BAWDIES『NEW』

  The Bawdies

                            撮影=Yuma Totsuka

先日ビルボードライブ東京でDJとしてサポートさせてもらったTHE BAWDIESに、今度はペンで迫りました。彼らのルーツから紐解く、メジャー6枚目のアルバム『NEW』の魅力について、じっくり語ってもらっています。ぜひご覧になってください。

SPICE・THE BAWDIESインタビュー


new

そしてここからは、僕が思う『NEW』の魅力について。

自分たちが生まれる前、1950年代や60年代のロックンロール・R&B、ブルーズやソウルへの憧れを前面に打ち出す姿勢は、デビュー時から一貫してぶれていない。しかしそこに感じるとてつもないエネルギーを伝えたいからこそ、ただ当時を再現するだけではいけない。それでは過去に勝てないし現代ではない。おそらく結成当初からそう考えていたのだろう。だからといって、いきなり奇をてらうようなことはせず、古き良き時代とじっくり向き合いながら、作品ごとにアップデートしてきた。時代が流れるスピードを感じながらも、決してそれに流されないこと。何かを伝えるためには、まず自分たちが本当の意味で楽しくあることを、第一に置いてきたのだろう。

では”本当の意味で楽しい”とはどういうことか?それは物事をとことん追求していく先にあるものだと思う。傍から見れば苦労を苦労と思わないアーティストもいるだろう。生みの苦しみととことんやりこめられるアーティストも。大雑把な言い方にはなるが、そこにかけた労力は同じだ。そのなかで、生き残るために、積極的にトレンドを取り入れ、トンネルを抜けて脚光を浴びるようになることもひとつの答えなのかもしれない。しかし、彼らは明らかにそういうタイプではない。もしそこに、認められない悔しさや伝わらないもどかしさがあっても目を背けない。ソウルは主食、そして自分たちが心底美味いと思った物事だけを骨に肉にし、オリジナルを極める。THE BAWDIESは現代に乗っかるバンドではなく、そうやって、現代を生み出すバンドなのだ。

そういう意味で、前作の『Boys!』はTHE BAWDIESのピークだと感じていた。しかし、それは良い意味で間違いだった。『NEW』はバンド史上最も多彩でポップアルバムとしての強度が高い作品となった。ロックンロール・R&B、ソウル、サイケデリック、インディーロック、パワーポップ、80'sポップ的な要素まで、時代にボーダーを引かず1950年代、60年代から今に連なっていることが印象的。意識的に取り入れたことも結果的にそこに近づいたこともあるとは思うが、初見のそれも含めて、板に付いていなければ出ないパワーをひしひしと感じる。ナチュラルでパワフル。ここまで散々理屈を述べてきたが、その前に感覚的にただ楽しい音楽であるためには、とても大切なことだ。誰かが初めて音楽を好きになるときに、ジャンルなんて意識するだろうか?その答えをロックンロールから突き付けたTHE BAWDIESという名の大衆音楽がここにある。アルバムタイトルのごとく、彼らの新章が始まったと言っていいだろう。

この『NEW』を引っ提げてのツアーは始まったばかり。僕もどこかで観に行きたいと思う。彼らの強い意志を感じ、見逃してはいけないという使命感にかられたから。

■THE BAWDIES / THE EDGE


THE BAWDIESオフィシャルサイト


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心斎橋ROCKROCKにて12年間、毎月休まず開催しご愛好いただいたShakermakerは、2016年いっぱいでレギュラー開催を休止しました。また大きくなって帰ってきます。そのとき会いましょう!