SOUND OF 2017

2017年05月26日

Heavenstamp『天国印鑑を聴きなさい』

最近初めてライヴを観て胸を撃ち抜かれたバンドがいる。長い間音楽と向き合っているけど、なかなかないレベルで。

Heavenstamp

ヴォーカル&ギターSally#CinnamonとギタリストのTomoya.Sによる2人組Heavenstamp。

彼らはブロック・パーティーのギタリストであるラッセル・リサックの全面協力を受けて、2011年に一度メジャーデビューしている。ブロック・パーティ―は2004年にデビューしたイギリスのバンド。1980年代のポスト・パンクが90年代のオルタナ・ロックのフィルターを通り進化するダンス・ミュージックのグルーヴと出会った当時のポップ最先端。ケリー・オケレケのヒップに躍動するヴォーカルと、ときに切れ味鋭くときに優しく空間を彩るラッセルのギター・サウンドが特に斬新だった。この曲は2004年〜2006年辺りは特に、ロック・クラブで鳴らない夜はないくらいにかかっていた。

■Bloc Party / Banquet


それとぼぼ同タイミングがこの曲。

■Franz Ferdinand / Take Me Out


なんかもう、この2曲だけで激動の00年代、すごいものがうごめいていた感じしませんか?ちなみにブロック・パーティはフランツ・フェルディナンドにデモを送ったことも大躍進のきっかけのひとつ。

そして時を経て2011年。Heavenstampはラッセルらと共に作り上げたセルフ・タイトル・デビュー・アルバムをリリースする。MVではなくあえてラッセルも映っているライヴ映像でシングル曲を紹介。

■Heavenstamp / Stand By You


先輩ブロック・パーティーやフランツ・フェルディナンドら00年代勢から受けた刺激も、レディオヘッドからの影響も、Sally#Cinnamonという名前通りストーン・ローゼスへの憧れも堂々と披露。インディペンデントなロックを志向する人にありがちな見栄や気取りもなく、この手のロックだと食べていくことが難しい日本で必死に戦おうとする姿勢をビンビン感じる。でもやっぱりちょっとカッコつけっていう。人間臭い、素晴らしい。

僕は当時ラジオ局に出入りしていたのですが、実際ここから登ってきそうな雰囲気はあったように記憶している。しかし彼らはなぜかメジャーの舞台を降りた。2014年にミニ・アルバムをリリースしているがこの頃には新たな若いバンドがどんどん出てきていた。タイミングが悪い。

では2人は音楽家として何をしていたのか。これがけっこうびっくりな話。

■Superfly / 99


■Superfly / Good-Bye


これらはTomoya.sが作曲、ほかにも多数。Sally#Cinnamonもアルバム曲やシングルB面曲に歌詞を提供している。

ここまで紹介した音源を通して聴いてみると実に面白い。パンクやポスト・パンク〜オルタナ〜00年代インディー・ミュージックからの影響を、Superflyの持つ70年代ロックやブルーズ、ソウルフルなテイストにもはめ込みアップデートに貢献。そしてJ-POPといういろんな意味で”圧が凄い”音楽とも真摯に向き合ってきたのだろう。好きじゃなきゃできない。ただのロック馬鹿だ。人間臭い、本当に素晴らしい。

何があってこういう経緯を辿ったのかわ知らないけれど、そりゃまたバンドをやりたくはずだ。2017年5月Heavenstampは5年振りとなるセカンド・アルバム『天国印鑑を聴きなさい』をリリースした。

tenngokuinnkann
この5年で時代は変わった。インディー・ロック、ギター・ミュージックが世界の表舞台からほとんどなくなった。若者の間ではロックが根強い日本だが、そことはまた異なる。Heavenstampの二人もそのことは分かっていると思う。それでもあらがえないインディー・ロックからの影響に素直になってやりたいことをやりたいという意欲。しかし”分かる人に分かればいい”というニュアンスとは違う。「聴きなさい」という言葉は広く世の中に向いている。それだけの力がある歌とギターとビートが鳴っている。

その思いは奇しくも「ギターミュージックを奈落の底から救い出す」と宣言したこのバンドとタイミングを同じくした。

■Kasabian / You're In Love With A Psycho


■Kasabian / Are You Looking For Action


元々なんだったらちょっとダサいくらいのポップ性を持っているカサビアンですが、最新アルバム『For Crying Out Loud』ではさらに振り切った。オーセンティックなロック、ポスト・パンク、ディスコ/ハウス・ミュージック、サイケなどのポップで美味しいところを見事にミックスしたなんとも明快な作品が、エド・シーランのチャート連続1位記録を止める。なんてかっこいいんだ。このスターの奮闘をちゃんと追い風にしていくのが僕のようなDJの仕事だとすれば、そこに乗る作品として『天国印鑑を聴きなさい』を薦めたい。

■Heavenstamp / Plastic Boy Plastic Girl


サビ前のタメが分かりやすいんですけど、もうカッコよさぎりぎりセーフかダサさぎりぎりアウトかのボーダーをダンサブルに行く。このスリルにロックンロールのエンターテイメント性とインディペンデントな魂を感じて興奮するんです。すなわち迎合的なポップミュージックより全然生々しくてポップ。

■Heavenstamp / Around The World


これはSally#Cinnamonのちょっと鼻にかかったような色気ある声と誓いのパワー漲る歌を前面に、壮絶な気持ちの葛藤からその先のユートピアまでを描くサウンドのマッチングが身に沁みる。

動き出そう。ロックンロールが勝つ日のために。

6月16日渋谷WWWで会いましょう。

Heavenstamp Official Web Site




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2017年05月20日

Cut Glass Kings / Here Comes The Light

コーラルのジェイム・ケリーが運営するレーベル「Skeleton Key」が面白い。 サイケと聞いてピンと来る人にはこの上ないレベル。これぞ英国ロックの伝統と深み。痺れます。ちなみにYotubeからレーベルのページに飛ぶと素晴らしいナンバーに出会いまくりです。そのなかでも最近気になっているバンドがバーミンガムの2人組カット・グラス・キングス。音もインパクトあるしルックスも雰囲気あるしローカル・シーンを飛び出してブレイクなるか。

■Cut Glass Kings / Here Comes The Light


レトロ・スペイシーなノイズからへヴィーなブルーズへ。ガツンとロックしていてトリップ感もポップな引っかかりもあってグッドです。


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2017年05月19日

Shit Girlfriend / Mummy's Boy

2017年のインディー・ロックは面白い。こちらも話題になりそうな予感。美女2人がネオンライトの前でザラついったロックンロールをラフにキュートに。これははまります。

■Shit Girlfriend / MUmmy's Boy


金髪の方はブラッド・レッド・シューズのローラ・メアリー・カーター。デビューから10年以上経つのにむしろ若返っている。ヒリヒリする緊張感、ときにへヴィーメタル的暗黒感も出していたイメージはどこに。サディスティックの二面性。女の人って凄い。

Blood Red Shoes / I Wish I Was Someone Better


2007年当時、クラブでもかかりまくっていてよく踊り狂った。




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Tove Styrke / Boderline

TwitterやInstagramにはいろいろとおすすめの音楽情報をアップしているのですが、こちらはすっかりお休みしていたのでそろそろ再開しようと思います。

スウェーデンのシンガー・ソング・ライター、トーヴェ・スティルケが新曲「Say My Name」のリリック・ヴィデオに続いてMVを公開。ご本人登場、キュートでカラフルな映像がグッド。

■Tove Styrke / Say My Name


イケイケのお姉ちゃんというわけでもなくマイノリティも”分かってる”的スノッブな視点でもなく、かといって親近感ありありでもなく、とても気になる絶妙な色気でハウスやレゲエなど様々音楽にアプローチ。もっと爆発的に売れてもいいと思っていたけどそろそろかも。

■Tove Styrke / Boderline


ティン・ティンズ〜チャーチズのラインでインディー・クラブ・アンセムになりそうな香りがプンプン、そしてグライムスくらい世界的に評価されてもいいんじゃないでしょうか。


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2017年02月23日

THE BAWDIES『NEW』

  The Bawdies

                            撮影=Yuma Totsuka

先日ビルボードライブ東京でDJとしてサポートさせてもらったTHE BAWDIESに、今度はペンで迫りました。彼らのルーツから紐解く、メジャー6枚目のアルバム『NEW』の魅力について、じっくり語ってもらっています。ぜひご覧になってください。

SPICE・THE BAWDIESインタビュー


new

そしてここからは、僕が思う『NEW』の魅力について。

自分たちが生まれる前、1950年代や60年代のロックンロール・R&B、ブルーズやソウルへの憧れを前面に打ち出す姿勢は、デビュー時から一貫してぶれていない。しかしそこに感じるとてつもないエネルギーを伝えたいからこそ、ただ当時を再現するだけではいけない。それでは過去に勝てないし現代ではない。おそらく結成当初からそう考えていたのだろう。だからといって、いきなり奇をてらうようなことはせず、古き良き時代とじっくり向き合いながら、作品ごとにアップデートしてきた。時代が流れるスピードを感じながらも、決してそれに流されないこと。何かを伝えるためには、まず自分たちが本当の意味で楽しくあることを、第一に置いてきたのだろう。

では”本当の意味で楽しい”とはどういうことか?それは物事をとことん追求していく先にあるものだと思う。傍から見れば苦労を苦労と思わないアーティストもいるだろう。生みの苦しみととことんやりこめられるアーティストも。大雑把な言い方にはなるが、そこにかけた労力は同じだ。そのなかで、生き残るために、積極的にトレンドを取り入れ、トンネルを抜けて脚光を浴びるようになることもひとつの答えなのかもしれない。しかし、彼らは明らかにそういうタイプではない。もしそこに、認められない悔しさや伝わらないもどかしさがあっても目を背けない。ソウルは主食、そして自分たちが心底美味いと思った物事だけを骨に肉にし、オリジナルを極める。THE BAWDIESは現代に乗っかるバンドではなく、そうやって、現代を生み出すバンドなのだ。

そういう意味で、前作の『Boys!』はTHE BAWDIESのピークだと感じていた。しかし、それは良い意味で間違いだった。『NEW』はバンド史上最も多彩でポップアルバムとしての強度が高い作品となった。ロックンロール・R&B、ソウル、サイケデリック、インディーロック、パワーポップ、80'sポップ的な要素まで、時代にボーダーを引かず1950年代、60年代から今に連なっていることが印象的。意識的に取り入れたことも結果的にそこに近づいたこともあるとは思うが、初見のそれも含めて、板に付いていなければ出ないパワーをひしひしと感じる。ナチュラルでパワフル。ここまで散々理屈を述べてきたが、その前に感覚的にただ楽しい音楽であるためには、とても大切なことだ。誰かが初めて音楽を好きになるときに、ジャンルなんて意識するだろうか?その答えをロックンロールから突き付けたTHE BAWDIESという名の大衆音楽がここにある。アルバムタイトルのごとく、彼らの新章が始まったと言っていいだろう。

この『NEW』を引っ提げてのツアーは始まったばかり。僕もどこかで観に行きたいと思う。彼らの強い意志を感じ、見逃してはいけないという使命感にかられたから。

■THE BAWDIES / THE EDGE


THE BAWDIESオフィシャルサイト


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NEW PARTY!
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Target!

2017年9月23日
場所:大阪NOON+CAFE
時間:17:00〜23:00
チケット:前売り3000円(別途1ドリンク代/8月5日よりプレイガイド・NOON店頭にて発売します)
■LIVE
DATS/HAPPY/Heavenstamp/MIssissippi Khaki Hair
■DJ
TAISHI IWAMI/ナカシマセイジ(Alffo Records)/Banchan(FM802)/Higu(mogran'bar)
■問い合わせ先
IN THE FLIGHT inc.
NOON+CAFE